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今回精読したのは,たったの1文です.それでも,議論は尽きませんでした.Taku さんこと金田拓さん(帝京科学大学)と Baugh and Cable の A History of the English Language, 6th ed. を読み進める超精読会,第66節の第3回をお届けします.「#1970. 英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む (66-3) with Taku さん --- オンラインオフ会より」です.その1文とは,節の締めくくりとなる次の英文です (Baugh and Cable, p. 87) .
The Latin influence of the Second Period was not only extensive but thorough and marks the real beginning of the English habit of freely incorporating foreign elements into its vocabulary.
まず "the Second Period" です.B&C は古英語期のラテン語の影響を,大陸時代のゼロ期,ケルト人を介した第1期,そしてキリスト教伝来に伴う第2期に分けて論じてきました.ここで総括されているのは,その第2期です.650年頃を境とするラテン借用語の性質の違いについては,「#3787. 650年辺りを境とする,その前後のラテン借用語の特質」 ([2019-09-09-1]) もご参照ください.
次に "not only extensive but thorough".この2つの形容詞は,偶然並んでいるわけではありません.extensive は (1) で見た450語,350語という「広がり」を,thorough は (2) で見た品詞転換や接尾辞付加による「同化の深さ」を,それぞれ受けています.第66節全体の議論が,この2語に圧縮されているのです.
そして後半の "the real beginning of the English habit of freely incorporating foreign elements".外来要素を自由に取り込むという英語の「習慣」は,中英語期のフランス語や近代英語期のラテン語・ギリシア語からの大量借用によって語られることが多いものです.しかし B&C は,その「本当の始まり」をこの古英語期のラテン語の影響に置いています.habit という語には,一度身についたら抜けにくい「癖」のニュアンスすら感じられます.freely という副詞も,古英語の自由奔放さを示しています.
今回の会で特筆すべきは,会場で精読の様子を見守っていたギャラリーの皆さんからもコメントが寄せられ,議論がいっそう深まったことです.1文を前にして,読み手の数だけ視点が増えていく.その過程は,ぜひ配信本編でお聴きください.
このように議論の輪に加わってみたいという方は,Voicy のプレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪 (helwa)」の門を叩いてみてください.精読ギャラリーの一員として参加すると,超精読がいっそう楽しくなります.過去回は「#5291. heldio の「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズが順調に進んでいます」 ([2023-10-22-1]) にまとまっています.

・ Baugh, Albert C. and Thomas Cable. A History of the English Language. 6th ed. London: Routledge, 2013.
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最終更新時間: 2026-10-21 05:00
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