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hellog〜英語史ブログ / 2026-10-22

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2026-10-22 Thu

■ #6387. 動物の鳴き声,頭字語,代名詞にまつわるクイズ --- sorami さんの『英語語源ハンドブック』クイズ第20弾 [note][hee][helkatsu][hel_education][quiz][onomatopoeia][acronym][singular_they][dutch]



 犬は「ワンワン」,猫は「ニャー」.日本語話者にとってはそれ以外にありえないと思える動物の鳴き声も,英語では異なります.そんな身近な話題を扱うのが,sorami さんによる「授業で使える!中学生向け英語語源クイズ」シリーズの第20弾「授業で使える! 中学生向け英語語源クイズ#20~home/house/略語/擬声語~」です.10月17日に公開されました.シリーズはついに20回目の大台に乗りました.
 今回は,astronaut や Oceania といった天体と海にまつわる語に始まり,house と home の使い分け,PTA や UFO などの頭字語 (acronym),動物の鳴き声を経て,最後は代名詞の話題に及びます.いつもながらの読者を飽きさせない見事な構成です.海の話題では New Zealand の問いも印象に残ります.英語とオランダ語の言語的な近さが,国名の綴字にひょっこり顔を出しているのですね.
 今回の私個人にとってのハイライトは,動物の鳴き声の問題です.犬の鳴き声から始まって,猫,牛,羊,豚,カッコウ,カエルに至るまで,英語では何と表現されるのでしょうか? 日本語と英語で近いものもあれば,想像もできないくら異なるものもあります.オノマトペ (onomatopoeia) は音をそのまま写し取ったものなのだから,ある程度は世界共通になりそうなものです.しかし,実際には,各言語の音韻体系や慣習というフィルターを通して切り取られた,すぐれて言語的な産物なのです.この点については「#5269. オノマトペは思ったよりも言語性が高かった」 ([2023-09-30-1]) や「#5271. オノマトペは意外にも離散的である」 ([2023-10-02-1]) でも論じました.音と意味の結びつきは恣意的なのか,それとも有縁的なのか.言語学の古典的な問いを,中学生が身をもって体験できる好問です.
 締めくくりは,いわゆる「単数の they」 (singular_they) に関する話題です.これは近年の新しい用法と思われがちですが,実は初期近代英語期から用例があり,18世紀以降の規範文法 (prescriptive_grammar) によって「誤り」とされた経緯をもっています.いったん抑え込まれた用法が復権しつつある,と見るほうが歴史的には正確です.詳しくは「#1054. singular they」 ([2012-03-16-1]) や「#1920. singular they を取り締まる規範文法 (1)」 ([2014-07-30-1]) をご覧ください.
 今回も sorami さんは「授業の小ネタ,ウォームアップ,グループ活動などに自由に使っていただければ幸いです.ALTの先生を巻き込むのもありですね!」と添えられています.とりわけ鳴き声の問題は,ALT の先生に実際に鳴きまねをしてもらえば,教室が沸くこと請け合いですね.問題版と解答版の PDF も用意されています.
 sorami さんのクイズ・シリーズの主な典拠となっているのは,刊行から1年4ヶ月ほどが経つ『英語語源ハンドブック』(研究社)です.今年の6月30日には物書堂より『英語語源ハンドブック』アプリ版 (iOS) も発売されていますので,ぜひこちらよりチェックしてみてください.豚の一声や単数の they といった小さな問いの向こうに,英語史という大きな物語が広がっていることを,このクイズは教えてくれます.



 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.

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最終更新時間: 2026-10-23 05:00

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