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#6384. 10月24日(土)の朝カル講座「"will" を探って中英語原文の世界へ」[asacul][notice][kdee][etymology][hel_education][helkatsu][me][me_text][kochushoho][tense][grammaticalisation][hee][spelling][me_dialect][nazesantangen]

2026-10-19


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 今週末の10月24日(土) 15:30--17:00 に,朝日カルチャーセンター新宿教室にてオンライン講座が開かれます.昨年度より長く続くシリーズ「歴史上もっとも不思議な英単語」の秋期クール初回(通算第19回)です.今回は「will を探って中英語原文の世界へ」と題して,英語学習者が早い段階で出会う,あの未来を表わす助動詞を取り上げます.
 will ほど身近な単語が「不思議な英単語」なのかと訝しく思われるかもしれません.しかし,古英語・中英語の will は「~したい,~を望む」を意味する,れっきとした一般動詞でした.それがどのようにして未来を表わす助動詞に化けたのか.そして,否定形はなぜ *willn't などではなく won't なのか.素朴な疑問を1つ立てるだけで,英語史の扉が次々と開いていきます.
 実は,講座の準備を進めるうちにスライドがどんどん膨らんでしまい,現時点で詰め込みすぎの気味が濃厚となっています.当日はこれを削って臨むことになりそうですので,以下に挙げる話題のすべてを扱えるわけではありません.それでも,will という1語からどれほど多方面に話が広がるのかを,少しだけお示ししておきたいと思います.
 まず語源です.『英語語源辞典』と『英語語源ハンドブック』を読み比べていくと,will の仲間として well, wealth, welcome が,さらには人名 William までもが姿を現わします.ラテン語の同根語に遡れば voluntary や volunteer にもつながります.身近な単語のなかに「望み」の語根が潜んでいるのです.
 次に文法です.「欲する」から「意図」の語義へ,そして「未来・予測」の語義・用法へと意味が漂白していく過程は,文法化 (grammaticalisation) の典型例といえます(「#4844. 未来表現の発生パターン」 ([2022-08-01-1]) を参照).can, may, must, shall といった他の法助動詞や,その過去形 would, could, should, might が「過去」を超えて仮定や丁寧さを表わすようになった経緯も興味深い話題です.規範文法の典型としての shall と will の使い分け(「#451. shall と will の使い分けに関する The Wallis Rules」 ([2010-07-22-1])),依頼表現 Will you . . . ? の発達(「#3632. 依頼を表わす Will you . . . ? の初例」 ([2019-04-07-1])),拙著『英語史で解く 英文法の謎』(通称『なぜさんたんげん』)でも取り上げた時・条件の副詞節に現われる will など,現代英文法の謎にも直結する話題が目白押しです.
 さらに方言と綴字の問題もあります.中英語期には wil と並んで wol という方言形が広く用いられており,Chaucer では I wol が普通です.標準英語は最終的に will を採用しましたが,wol の母音は否定形 won't のなかに化石として生き残っています(「#1298. won't から l が消えた理由」 ([2012-11-15-1])).willy-nilly に潜む古い否定辞 ne の話も,時間が許せば紹介したいところです.
 講義の後半には,市河三喜・松浪有(著)『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』(研究社,2026年)より,13世紀末の東中部方言で書かれたロマンス Havelok the Dane の冒頭19行を中英語原文で精読します.4月の朝カル回でも冒頭の数行を読みましたが,今回はその続きに現われる wile と wilde に注目します.何人をも容赦しようとしない「死」を描くこの1節で,will が現われます.原文を前にじっくり考えて読み解いていきたいと思います.講義資料で原文や文法解説をサポートしますので,中英語原文に初めて触れる方でも安心してご参加いただけます.
 講座の詳細とお申込みは,朝カルの秋期クールの公式ページをご覧ください.秋期クール全3回の日程と内容は次の通りです.

 ・ 秋期第1回(10月24日):歴史上もっとも不思議な英単語 --- "will" を探って中英語原文の世界へ
 ・ 秋期第2回(11月28日):歴史上もっとも不思議な英単語 --- "more" を探って古英語原文の世界へ
 ・ 秋期第3回(12月26日):歴史上もっとも不思議な英単語 --- "foot" を探って古英語原文の世界へ

 秋期クールも,多くの方の受講をお待ちしております.Where there's a will, there's a way!

 ・ 市河 三喜,松浪 有 『古英語・中英語初歩〈新装復刊〉』 研究社,2026年.
 ・ 唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.
 ・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
 ・ 堀田 隆一 『英語史で解く 英文法の謎 --- なぜ「3単現の s」をつけるのか』 NHK出版(NHK出版新書),2026年.

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