なぜフリーレンは Friezen ではないのか.銀行の bank と土手の bank はどこから来たのか.同じ話題に複数の寄稿者が別々の角度から切り込む,そんな響き合いの目立つ号が届きました.有志ヘルメイトによる月刊ウェブマガジン Helvillian 10月号が,9月28日に公開されています.通算第24号となります.創刊から丸2年,素晴らしい継続力です!
今号も Galois さんによる見出し画像,Lilimi さんによる目次作成に導かれて,本編が始まります.
トップバッターは ari さんで,寄稿された多数の記事のなかなから7本が目次に上がっています.Don't be quiet. の do の謎に始まり,「フリーレン」をヴェルネルの法則 (verners_law) で読み解く一篇,bank 「銀行」の借用元をイタリア語とフランス語のあいだで考える一篇,on foot や toothbrush がなぜ単数形なのかを問う一篇など,今号も縦横無尽です.
この「フリーレン」と bank の話題には,ykagata さんと mozhi gengo さんも呼応しています.ykagata さんはドイツ語 frieren の r がかつて s だったという文法的交替の話題を『新訂・中高ドイツ語小辞典』で掘り下げ,ドイツ語 Bank 「長椅子」の語源にも迫っています.mozhi gengo さんは,土手の bank が古ノルド語由来,銀行の bank がフランク語由来であるのに,なぜ古英語由来の bank がないのかと問います.同じ語をめぐって3人の視点が交差するのは,Helvillian ならではの醍醐味です.mozhi gengo さんはほかにも,中動態の行方,ウイスキーやウォッカが「命の水」と呼ばれる理由,yard と garden と「ちゅら海」の関係など,今号も多作です.
辞典通読勢も着実に歩みを進めています.lacolaco さんの「英語語源辞典通読ノート」は diet, dig, dinner へ.あまねちゃんは通読シリーズを No.11 まで進めつつ,『英語語源ハンドブック』を用いた「日曜日」の語源クイズや,拙著『英語史で解く英文法の謎』に「載りそうで載らなかった」トピックの想像まで,遊び心あふれる5本を寄せています.
教育の現場からは,sorami さんの中学生向け語源クイズが第16弾から第18弾まで順調に公開されています.みーさんの「小学生と学ぶ英語史」も日々絶好調で,今回目次に上がっているのは water から good までの7本です.川上さんは「時,条件を表す副詞節」で未来のことでも現在形を用いる理由を前後編で論じ,三条市での講座開講も報告しています.kendama_player さんは形態的生産性を整理する記事を寄稿しています.
ほかにも,Grace さんのトイレ談義の再訪,Lilimi さんの DELF B2 合格の振り返り,しーさんのチャーハンと英語にかけられた「呪い」の話,umisio さんの「伏線回収」論その5,こじこじ先生のオリジナル曲など,多彩な顔ぶれが並びます.巻末は Grace さんによる編集後記で締めくくられています.
寄稿者の皆さんが各々の持ち場で書き継ぎながら,ときに同じ語をめぐって自然と議論が交差していく.コミュニティとしての成熟を感じさせる号となっています.Helvillian 10月号はぜひ本編でお楽しみください.
3年目に突入する次号では,どんな響き合いが生まれるのか,今から楽しみです.そして,この hel活の輪に加わりたいと思われた方は,活動拠点となっている Voicy プレミアムリスナー限定配信チャンネル 「英語史の輪 (helwa)」を覗いてみてください.
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